笹間代表のコラム
犬は見た目が一割2007年5月15日
“人は見た目が9割”(714円/竹内 一郎著/新潮新書)という本が話題になっています。5月14日現在のAmazon.co.jpのランキング、書籍の部門で637位ということですから、大変な売れ行きです。
言われてみれば確かに。大人になっても、やっぱりお会いした方の身なりを気にします。つま先から頭のてっぺんまで舐めるように品定めしたりして。あ〜イヤな感じですね!
そうそう、少し前のことですが、弊社のデザイナーが入社当時履いていたシューズに私がツッコミを入れました。
「新しいの買いや!」
それほど口うるさい経営者ではないと自認しているのですが、言わずにいられないほど汚れているんですよ。なんというか、貧乏大学生が暮らすぼろぼろの学生寮のじめじめした玄関に転がってそうな感じといいますか、とにかくみすぼらしい。
靴ってファッションの重要なポイントですよね。ひょっとすると彼はまだ若いので、まぁ、気にしないのかなぁ。いや待てよ、着ている服を見るとオシャレにはけっこう気を遣ってるようだから、給料が安いせいかなぁ・・・なんて思ったり。
後になって分かったことなんですが、 彼の履いていたシューズは、“しわ”や“汚れ”をデザインモチーフにした、イギリスのブランドのオシャレ系シューズだったわけで、彼の世代の感覚からすれば見当違いの指摘だったようなんです。
ややこしいっちゅーねん!
いやー、いくら高いシューズでも、清潔感が命の“シブカジ”を知る世代としては、理解できなかったんですよね。
(デザイナーのN君、ネタにしちゃってゴメン!)ちなみに彼は今ピッカピカのシューズ履いています(笑)。
おそらく社長である私の靴より、高いと思います・・・。さて、長い前置きは置いておきまして、話は本題へと移ります。
この書籍のお題目、「ペットを見る目」に差し替えて考えると、少し考えさせられることがあるんですよね。
みなさん、犬を購入する際に何を重視しますか??
@Wan!s directで子犬をお迎えなさる際にお客様に伺った、決め手となったポイントで多かったものを挙げてみましょう。
「テディーベアみたいな子犬!」
「キレイなレッドヘアーのワンちゃん!」
「お父さんがAM-CH(アメリカンチャンピオン)だからさ!」
「目が合ったから・・・」
やっぱり見た目を気にされる方が多いようです。 ちなみに目があったから、というのは冗談です。CMを参考にしています。
他にも見た目に関してはいろんなポイントが挙がります。お客さまの立場に立てば、容姿に関してご自身の好みに合った条件で選ぶことは、一生を共にするパートナーとしてペットを考えると、とても重要になるということは理解できます。
そういった意味で、これらの視点を購入判断にするのは間違っていませんよ。
でも“それだけ”で決めてしまうのは正解ではありません。
よく考えてみましょう。
ペットは生きています。 成長するんです。つまり経年変化するんです。 テディーベアみたいな小さなぬいぐるみみたいな子犬も、成犬になれば精悍な顔立ちになります。それが当たり前のことです。人間でも同じことですよね。いつまでも赤ちゃんみたいな顔をした大人がスーツを着て仕事している姿、もうコントですよ。
コートカラーも同じですね。 たとえばトイプードルは、現在はレッドの子犬が最も人気があります。さて5年後はどうなってるんでしょうね。人のファッションと同じで流行の流行廃りは早いですよ〜。 これって犬種にも当てはまりますよね。
思い出して下さい。 一昔前に流行った「シベリアン・ハスキー」。 今となってはほとんど見かけませんけど、バブル絶頂期は、みんながあこがれた大型犬です。魅力のある犬なんですよ。見た目がきりっとして、澄んだブルーアイがちょっと恐いですが、性格はおとなしいです。しっかり躾をすることができれば、ほんとうに飼育しやすい犬種です。
でもやっぱり大きいんですよ、体。 とてもパワフルで、散歩するときは一苦労。 女性なんてぐいぐい引っ張られて振り回され、どっちが連れて歩いているのか……。 ご飯もいっぱい食べます。もちろんウンチもりもり。人気があるからなんていう、ミーハーな軽い覚悟で飼うなんて、とてもできない犬種なんです。 そんな大型犬をマンションで飼育してたんですね、当時は。
「だって欲しいんだもん、カッコイイし流行ってるし!」
で、手に負えないから、飼育放棄……。 気ままで無責任な行為のために、その犬はどうなるんですか?
ここ最近、日本で犬や猫を飼い始める場合の傾向として、ペットショップで子犬や子猫を購入するというケースがほとんどです。 その時の衝動的な欲しいという感情だけでペットを買う(すなわち「飼う」)のは、あとになって大きなマチガイであると気付き、後悔するかもしれないということ、ご理解いただけたでしょうか?
お父さんがAM-CH(アメリカンチャンピオン)だったら、どうなんでしょうね? ブリーダーになられるのですか? ドッグショーに出されるのですか? もしもそういうプランを持ってらっしゃるなら、子犬の容姿だけでなく、血統と父母犬の容姿や“スペック”にこだわるべきです。 しかしそんなプランをお持ちでないなら、そんな“ブランド”に意味はあるのでしょうか? それよりも長生きする元気な子とか、見た目よりも中身を重視することになるんでしょうね。
ということで……結論!
「子」(前提条件:ペットとして飼う場合)
それで、1割の根拠は? と、ツッコミを入れた方、鋭いですね〜。きっぱり白状します。あまり根拠はありません(苦笑)。語呂合わせですから。
冗談はさておき、ペットの購入を検討する場合は、そのペットの「今」の見た目のみにこだわって考えるのではなく、あなたの「5年後」「10年後」の生活環境にペットがともに暮らしているシーンをリアルに想像した上で真剣にお考えください。
そう考えていくと、長い年月、怪我や病気に悩まされることのない健康なペットと一緒に暮らせることが最も重要な事であり、強いては、その子犬や子猫の健康状態、生産者の飼育環境、ブリーディングや飼育に対するこだわりなどがとても大事になってくることは、容易にご理解いただけるのではないでしょうか。
ですから、いくらカワイイ、理想の容姿の子犬や子猫であっても、体が弱かったり、どこで育ったかも解らなかったり、といった場合は、残念ながら購入の選択肢からはずれるのではないでしょうか。
動物愛護法が改正されてから、子犬や子猫を購入する前に、かならず該当ペットの健康診断証明書が付くようになりました。昔に比べて、その場では解らなかった健康状態も証明という形であるていど保証されています。 また最近では、情報開示やトレーサビリティーを重視する考え方が一般的になってきており、今までブラックボックスだったブリーダーの情報なども、一部の業者ではありますが生体情報とともに開示されてきております。
検討の際は、生き物を飼い続けるために本来知っておけなければならない情報を重視し、その上でお気に入りの容姿の子犬や子猫を選ぶと良いでしょう。
余談ですが、 見た目が大事ですよ〜! 印象違いますよ〜! 損しますよ〜! と書いている、前出の書籍で大々的にうたっている「9割」という数字ですが、実は深い意味は無いんですよね。別に8割でも99%でもなんでもOKだったんです。
だいたい、そうなんですよ! それを数字にしただけ。キャッチコピーとしてその方がインパクトがあるからです。 このコラムを読まれた方も、 最初は、タイトルの数字に興味を持たれたのではないでしょうか?
1割という極端な数字は、「犬を飼うときには本当に大事なことを慎重によく検討していただきたい」という私の気持ちを代弁する数字だと思ってください。
コラム著者:笹間健史
(株)ペッツ・マーケット・サービシズ代表取締役

