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笹間代表のコラム

ホントの意味で"顔が見える"っていうこと2007年4月13日

●「あんた、誰?」野菜パックの生産者顔写真。

先日、妻につきそってスーパーに出かけた際に、ふと気付いたことがあります。
産地直送や生産者の顔が見える野菜、牛肉のトレーサビリティーと、
やけに情報開示や生産地にこだわったPOPやパッケージが多いんですよね。

それが世の中の流れだということを、ニュース等で耳にしてはいましたが、
まさかこれほどまでとは! と、実際に目にしたときのインパクトは強烈でした。

そうそう、つい最近行った近所の焼肉店でも、
「今日の牛肉の個体識別番号」とURLが記載されていて、
その場ですぐさまケータイを取り出し、チェックしてしまいました。

アメリカ産牛肉の問題は頻繁にマスコミを騒がせていましたから、
ITがこのように活用されていることには感心しました。
だけど、ただ生産者の名前だけを見せられたところで、どうなんですかねぇ?
「誰だか知らないけど、顔出してるんだから100%安心よ! まちがいない!!(古いですね…)」なんて思えますか?
私なら、「ふ?ん、それで?」と、とくに心動かされることもなく、むしろ
「このオッサン(失礼!)って誰やねん? てか、ホンマに大丈夫なんかいなぁ?」と、
ムクムクと疑問が膨らんだ、というのが正直なトコロです。

生産者の顔が見える野菜にしたって同じ。
「おっ、この人、なんか人柄良さそうやんか」って、その生産者の顔写真の写り、つまりビジュアルで選んじゃったりしちゃいますからね。

そうした表示がなかったころは、そんなことまで意識せずに買ってましたが、いくら顔写真を出したところで、その写り栄えで選ばれちゃうようじゃ、「本末転倒だよォ、君ィ」と、企画した人間にえらそうにダメ出しをしたくなるってもんですよ。

妻とも
「このオッサン(またまた失礼!)、人相悪いな?。これじゃ絶対に売れへんで!」
「ほんまやわ、それにしても、もうちょっとマシな写真なかったんやろか?」
などと自らのルックスを棚の上の最上段に放り投げて、やりとりしていました。

●中途半端な情報開示が、一層の不安を生む。

情報開示という行為自体、購買者に安心感を与えようという新たな試みであることは間違いありません。しかしその肝心の内容が中途半端で、精査するための詳細なデータ、比較する対象がわずかで、結果的には不安要素が増えてしまいました。これでは意図に反して購入のモチベーションを妨げることになってしまいます。
生産者の顔が見える野菜で言えば、比較できる情報は、野菜の値段と顔写真しかないのです。

解決策はいたってシンプル。開示する情報に、購買者が商品を選ぶための判断基準を明示すればいいのです。その基準とはなにか?
野菜であれば、生産者の顔よりも、使用している水の成分、肥料の原料、農薬の使用有無や生産こだわりなど、私たちの体に入る前に必ず知っておかなければならないことを詳しく記載するべきです。

つまり食べ物としての安心を生む情報です。
そういう安全な食品であるための大前提を担保しつつ、この野菜を作っているのは私ですよ、という感じでプロフィールと写真を掲載することが重要なのではないでしょうか。
今の時代ですと、ネットと連動させるのもイイでしょうね。

“食”に対する安心感は、どのようにして生まれるか、もういちど考えてみましょう。まちがいなく安全な食品であることを保証する適切な情報があってはじめて、心理的な安心を生み出す情報に信憑性が生まれ、「安心の食」として産地や生産者のブランドが確立されるのです。そしてそれが商品の付加価値を一層高め、より大きなビジネスチャンスを生み出すわけです。

しかし現状の販売野菜のパッケージは、残念ながら肝心の食品としての安全と安心を担保する情報があまりに少なく、PR優先の顔写真をこれ見よがしに載せているパッケージ、というものが多いようです。

●ブリーダーの顔が見える犬

さて、弊社はペット関連会社ですから、そろそろ野菜ではなくペットの話をしますね。
今回は「ブリーダーの顔が見える犬」について。
オカルトじゃないですよ。笑

まずペットの流通の現状に関しては、下記コラムにて詳しく記載しておりますので、
この場での説明は省きます。

「誰がこんなシステムを作ったのか?日本のペット流通の現状」

簡単に説明すると、子犬たちも野菜と同じく、ブリーダー(生産者)から競り市を介して、ペットショップ等の小売りへと流れます。

いろいろな人の手を渡っていくわけですね。
競り市やらなんやらを経由する流通ため、小売りのペットショップは生産者の顔を出したくても、その情報は無く出せません。
そういう情報はこれまで購入者から求められてこなかったという事実もあります。ペットショップに並べば、健康でカワイイならそれでOK!という風潮でした。ブリーダーのことなど気にも留めません。

ペットショップに足を運んだときのことを思い出してみて下さい。
ブリーダーさんの顔写真って見たことないでしょ?
カワイイ子犬の顔に目がいってしまって、ブリーダーの事なんて意識もしなかったんじゃないでしょうか?
ブリーダーの子犬を購入する際の判断基準じゃなかったんですね。
現在のペット流通で末端の私たちがブリーダー情報を得るには、
どんな手段があるかご存じですか?

え、ブリーダーの情報なんて必要ないって?
ちょっと待ってください。
考えてもみてくださいよ。
10年来これから一緒に暮らすわけです。
金銭的にも、時間的にもいろいろと成約を受けます。
生き物のペットを飼うということは、得ることも大きいですが、それ以上に犠牲にすることだっていろいろあるわけです。
下手をすると、今の彼氏彼女よりも長い付き合いになるかもしれないのです。

母犬は健康で元気な犬だったの?
兄弟は元気?
どんな環境で育てられたの?
病気してない?
栄養たっぷりの食べ物与えてもらった?
そして。
誰がこの子犬を世に生み出したの?

ほんとうに気になりませんか?
もう一度お尋ねしますよ。

10年以上いっしょに暮らすのですよ!

そうは言ってみたものの、残念ながらペット流通に関わる人間が、ブリーダーと流通経路を開示する意志を持ち、行動を起こさない限り、あなたはブリーダーの情報を得ることが出来ません。

最近でこそ、前出の顔の見える野菜じゃないですが、ブリーダーの名前を掲示し始めたペットショップもちらほら見受けられます。
良い流れではありますよね。

それでも、大阪人の私は突っ込みたくなるんです!
「名前を開示したから安心だろ?」的な、打算的な意志が見え隠れしません?
なんかイヤらしいですよね。やるなら、徹底してやれと言いたい。
だって、名前だけ教えてもらってもねぇ。
購入する側も、「名前の開示」だけでも、これまで無かったことですから、他店と比べて劇的な情報開示量なわけで、それで安心しきってしまい、購入に至るのかもしれません。

でも名前だけなら、同姓同名の方も居るでしょうしね。
少し冷静になれば、野菜パックの顔写真と同じって気づいていただけるでしょう。
ただカワイイ子犬を前にすると、判断力は鈍りますのでご注意を。

●ブリーダーの名前より重要な生産者情報

さて、子犬購入の場で、ブリーダーの名前より重要な情報ってなんでしょう?
野菜にとって重要な情報は先ほど挙げました。
ペットにだって、重要な情報もあるはずです。

ブリーダー名前は、購入を検討する比較要素になりますか?
NO。
名前は、その人を特定する重要な要素ですが、
開示されている情報が名前だけであれば、それには全く意味がありません。

残念ながら、現在のほとんどのブリーダーさんには、ブランドが存在しません。
ペット業界では名前が通っていても、少なくとも一般の私たち消費者レベルでは、誰それ?という程度のものです。
(ブリーダーのブランド化については、別の機会に書き記したいと思います。)
情報価値としては、ブリーダーの名前は、野菜パックの顔写真と同じ。
情報開示の視点から見ると、まだまだ未成熟な流通なのです。

では子犬選びで最も重要な情報はなんなのでしょう?
もうお気づきでしょうが、その子犬の出産・飼育情報であり、
それらの情報が揃ったことで、初めて他の子犬と比較検討が出来るというのは、ご理解頂けると思います。

子犬の見た目だけで選ぶなんて、賢明な判断とは言えません。
一目惚れも出会いの一つですが、
人生の伴侶は慌てずじっくり比較検討していきましょう。

みなさんがじっくりと比較検討して安心と納得をもってペットを迎えることができる環境をつくるために、弊社はそれに適した健全な流通システムを構築していこうと考えています。

コラム著者:笹間健史

(株)ペッツ・マーケット・サービシズ代表取締役